今週,日本の鉄鋼企業である日本製鉄の橋本英二社長が,2050年までにカーボンニュートラルを達成する計画を発表しました。この発表は,日本の菅義偉首相や世界最大の鉄鋼企業アルセロール・ミッタルが,同じように2050年までのカーボンニュートラル達成を誓ったすぐ後になされたものです。
マイティ・アースの日本プロジェクト統括マネージャーであるロジャー・スミスは,これに対して次のように述べています。
“世界第3位,日本では最大の鉄鋼企業である日本製鉄が今や,気候変動を打ち破るミッションにおけるグローバルプレーヤーになることを公式に約束しました。鉄鋼業界全体にとって,またそのサプライヤーや,トヨタや他の自動車メーカーといった顧客にとっても,自分たちが地球の気候に与える大きな影響に立ち向かううえで弾みとなる重要なステップであり,私たちはこの日本製鉄の誓いを歓迎いたします。」
日本製鉄は自社の業務を改革するだけでなく,内部から働きかけて経団連の気候変動政策についての立場を変更させることを通じて,自らの真剣さを証明する必要があります。あまりに長い期間,経団連は石炭の段階的廃止と国内の再生可能エネルギーの拡大に向けた動きを,国家レベルで遅らせようと活動してきました。
“日本製鉄が水素の研究・開発・導入に真剣に取り組んでいる様子を目にして,私たちは喜んでいます。しかし,排出量目標を達成するうえで二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)技術に過度に依存していることには,注意を払っています。業界において汚い石炭や森林バイオマスの燃焼技術を完全に転換し,これをきれいな電化,材料効率,また業界規模の適正化と組み合わせる必要があります。同社の計画については,新たな合弁事業のAM / NSインディアでどのようにカーボンニュートラルの達成を目指すのかを,とりわけ関心をもって見守っています。」
“また,日本製鉄はこの問題の緊急性を認識しているように思えます。主に石炭を燃焼させる溶鉱炉ですが,老朽化したいくつかの施設について電気炉への移行を始めようとしており,最終的には水素を使用した鉄鋼生産の拡大を目指しています。そのいずれも電力供給は再生可能エネルギーで行えます。しかしながら,この移行には,石炭やバイオマスを燃焼させる新たな施設をどこにもいっさい建造しないというモラトリアムと,石炭を燃焼させる既存施設の段階的廃止計画も含まれている必要があります。これによって,カーボンニュートラルな鉄鋼生産が現実になることが保証されます。森林バイオマスには短期的な炭素への影響がかなりあることは,多くの場合見落とされています。森林に隔離されている炭素が,燃料に転換され,燃やされ,大気中に戻っていくのです。」
“私たちは今も,期限を定めた,実行可能でより具体的な手順を日本製鉄が示すのを待っています。それは宝鋼集団、HBISニューコア,沙鋼,浦项制铁タタその他の同業者を焚きつけ,野心的なコミットメントや計画を駆り立てるものであるべきです。ただし,1.5度の温暖化シナリオを実現できるように,産業界と政府はともに十分な投資をし,科学に基礎を置くコミットメントを行う必要があります。行動する用意があるというシグナルを産業界が送っているのであり,日本政府はこの困難な目標を早期に実現するために,鉄鋼企業や他の重工業による二酸化炭素排出を抑え込む技術への投資に対して,グリーンリカバリーの形で公的な支援を行うべきです。」
マイティ・アースのグローバルな鉄鋼キャンペーンの詳細を知り,アルセロール・ミッタルに関する最新のミニレポートを読むには,www.itiraj.com/steelにアクセスしてください。